名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「あーえっと、あれだ。……嫌だった?」

「嫌じゃないけど」


強く即答してしまって、はっとする。


これだとばれる、そうちゃんが好きってばればれすぎる……!


慌てて修正。


「別に嫌じゃないっていうか、わたしはいいけど。別に」


若干早口になったのは仕方がないので、見逃して欲しい。


「…………」

「……何」

「なんでもないけど?」

「……ならいい」


……修正できたんだろうか、これ。


余計に墓穴を掘っている気がする事実は頭の片隅に追いやって。

やっぱり追いやりきれなくて、もう少し付け足す。


「でも、そんなことしてたらさ。彼女できないよ」


わたしとしては精一杯の言葉を言ってみた。


いい、とかぶりを振るそうちゃん。


「彼女とか、別にいらない」


一旦考えて、またかぶりを振って。


「俺は、怖がりの幼なじみを送らなきゃいけないし」


そうちゃんは、そう言って優しく笑った。
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