名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
パチンパチン、パチンパチン。
私語はなし。ひたすらホチキスの音が響く。
教室に残っていた人たちも、一人、二人と帰っていってしまった。それでも無言。
そうちゃんの黒髪を明るく染めていた夕日も完全に沈んで、今は、外は墨汁みたいな濃い黒をしている。
黒板の上の壁にかかっている時計は今何時なんだろう。
わたしは背を向ける配置で座っているから詳しくは分からないけど、一時間は確実に経った。
それでも、無言。
沈黙は嫌ではないはずだった。
苦しくはない。
確かに苦しくはないのに、二人とも無言でいるのが無性に寂しくて、小さく口を開く。
「これ、何人ぶんあるの?」
手を休めなかったからだろうか。そうちゃんは、無駄口を叩くなとは言わなかった。
ちらり、紙の束からわずかに目を上げて、こっそり緊張しているわたしを一瞬見た。
すぐさま目を伏せたそうちゃんの肌を、外の暗さが浅黒く見せている。
……横顔じゃないそうちゃんをこんなに近くで見るのは、いつぶりだろう。
ふと、そんな感慨が湧く。
手を休めずに、でも正面を凝視していると、わたしとおんなじくらい小さな声量で、そうちゃんも口を開いた。
私語はなし。ひたすらホチキスの音が響く。
教室に残っていた人たちも、一人、二人と帰っていってしまった。それでも無言。
そうちゃんの黒髪を明るく染めていた夕日も完全に沈んで、今は、外は墨汁みたいな濃い黒をしている。
黒板の上の壁にかかっている時計は今何時なんだろう。
わたしは背を向ける配置で座っているから詳しくは分からないけど、一時間は確実に経った。
それでも、無言。
沈黙は嫌ではないはずだった。
苦しくはない。
確かに苦しくはないのに、二人とも無言でいるのが無性に寂しくて、小さく口を開く。
「これ、何人ぶんあるの?」
手を休めなかったからだろうか。そうちゃんは、無駄口を叩くなとは言わなかった。
ちらり、紙の束からわずかに目を上げて、こっそり緊張しているわたしを一瞬見た。
すぐさま目を伏せたそうちゃんの肌を、外の暗さが浅黒く見せている。
……横顔じゃないそうちゃんをこんなに近くで見るのは、いつぶりだろう。
ふと、そんな感慨が湧く。
手を休めずに、でも正面を凝視していると、わたしとおんなじくらい小さな声量で、そうちゃんも口を開いた。