名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
「うちの学年ぶん」


うわあ、それじゃあ二百を超すよね。


すごい量だと思ったら本当にすごい量だったらしい。


山が減ってなんとか終わりが見えてきたけど、さっきこの山を持ってきていた教室の隅には、もう一つ同じ山がある。


ちょっと気が遠くなりそうな作業量だ。


「……一人で頼まれたの?」


こんな無謀なこと、とは言わなかったけど、声色に多分に含まれてしまった。


「三人。昼近くに印刷頼まれて、終わりましたって報告に行ったらホチキス渡されて、並べ替えるところまではなんとかしたけど二人とも部活」


……うーん。じゃあ、その二人の手伝いは絶望的に見込めない。


うちの学校の部活は基本、最終下校時刻まで粘って活動している。


その二人はきっと、部活終わったから手伝うよ、なんては戻ってこないだろう。


今いないということ、そうちゃんが何も言わないということは、二人は部活を休もうとしたのかもしれないけど、そうちゃんが断ったということだ。


いい。ちゃんと部活行けよ、俺がやっとくから。とかなんとか、そんなことを言ったに違いない。


部活は強制ではないだけに、入る人はそんなに多くない。


だから、部活に入るような人たちは、その活動が好きだから入っている。休むのは嫌なはずだ。


そうちゃんはそれを鑑みて一人でやろうとしたに違いない、違いないんだけど。
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