名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
ようやく資料を全クラスに配布し終わった。その旨を報告するために先生を探す。
薄暗い階段の蛍光灯が、人の気配に反応してジジジと青白く明るくなった。
電気はついたものの、照らす範囲はそれほど広くない。
やっぱり周りは暗いから、階段の端は暗闇に紛れたままだ。
階段は人の気配で明かりがつく蛍光灯なのに、廊下は違うのってちょっとひどいと思う。
やっぱりこの学校の設計者は優しくない。
「よし。行こう」
「……うん」
う、と少し怯んで心持ち真ん中に寄るわたしに笑って、歩き出したそうちゃんは右側の手すりに手を滑らせている。
隣に並ぶと、わたしがちょうど、一番光が当たる真ん中にくる位置に立ってくれた。
何も言わないけど、きっとそうちゃんの優しさだ。
「佐藤さん」
一歩、二歩、とゆっくり足を運んでいると、そうちゃんが静かにわたしを呼んだ。
「うん?」
そうっと返事をする。
そうちゃんは前を見たまま、やっぱり静かに言った。
「ありがとう」
「どういたしまして。……というか、あの、こっちこそありがとう」
逆に迷惑をかけてしまったんじゃないかってくらい、そうちゃんにいろいろ気を遣ってもらってしまった。
ほんと、どうにかしなきゃなあ、これ。
薄暗い階段の蛍光灯が、人の気配に反応してジジジと青白く明るくなった。
電気はついたものの、照らす範囲はそれほど広くない。
やっぱり周りは暗いから、階段の端は暗闇に紛れたままだ。
階段は人の気配で明かりがつく蛍光灯なのに、廊下は違うのってちょっとひどいと思う。
やっぱりこの学校の設計者は優しくない。
「よし。行こう」
「……うん」
う、と少し怯んで心持ち真ん中に寄るわたしに笑って、歩き出したそうちゃんは右側の手すりに手を滑らせている。
隣に並ぶと、わたしがちょうど、一番光が当たる真ん中にくる位置に立ってくれた。
何も言わないけど、きっとそうちゃんの優しさだ。
「佐藤さん」
一歩、二歩、とゆっくり足を運んでいると、そうちゃんが静かにわたしを呼んだ。
「うん?」
そうっと返事をする。
そうちゃんは前を見たまま、やっぱり静かに言った。
「ありがとう」
「どういたしまして。……というか、あの、こっちこそありがとう」
逆に迷惑をかけてしまったんじゃないかってくらい、そうちゃんにいろいろ気を遣ってもらってしまった。
ほんと、どうにかしなきゃなあ、これ。