名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
ココア、という文字が大きく視界を占めて、見慣れた柔らかい色味をしたココアが、優しく波打つ。
ん、とペットボトルを揺らしたそうちゃんは、さらりと言った。
「あれだろ、だいぶ残っちゃうから買わなかっただけで、喉は渇いてるんだろ」
「え、うん。そうだけど……」
「で、確かこっちが好きな方」
「うん、合ってる」
「お、やった」
口の端を吊り上げたそうちゃんが、いたずらっぽく笑ってわたしを覗き込む。
「半分くらいまでなら飲んでもいいけど、飲む?」
悔しいな、と思った。
どうして分かったのかは分からない。
ただ、わたしが炭酸が駄目なことを覚えていてくれたんだなあ、って嬉しくなったり。
少し寒がってたこと、どうして気づいたんだろう、って疑問に思ったり。
いつも買うココアを、ちゃんと、よく似た隣のカフェオレと間違えずに覚えていてくれたんだな、って驚いたり。
いろんな感情が混ざって、でも決して嫌ではなくて、心が弾んでいく。
オレンジ色のキャップのペットボトルが、もう一度優しく揺れた。
ん、とペットボトルを揺らしたそうちゃんは、さらりと言った。
「あれだろ、だいぶ残っちゃうから買わなかっただけで、喉は渇いてるんだろ」
「え、うん。そうだけど……」
「で、確かこっちが好きな方」
「うん、合ってる」
「お、やった」
口の端を吊り上げたそうちゃんが、いたずらっぽく笑ってわたしを覗き込む。
「半分くらいまでなら飲んでもいいけど、飲む?」
悔しいな、と思った。
どうして分かったのかは分からない。
ただ、わたしが炭酸が駄目なことを覚えていてくれたんだなあ、って嬉しくなったり。
少し寒がってたこと、どうして気づいたんだろう、って疑問に思ったり。
いつも買うココアを、ちゃんと、よく似た隣のカフェオレと間違えずに覚えていてくれたんだな、って驚いたり。
いろんな感情が混ざって、でも決して嫌ではなくて、心が弾んでいく。
オレンジ色のキャップのペットボトルが、もう一度優しく揺れた。