名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~
急速にほてる身体は理不尽だ。


分かってる。


そうちゃんに他意はないんだ。


でもこれは回し飲みってやつで、

つまり間接キスで、

でもそうちゃんは喉が渇いているだけで、

つまりそうちゃんに他意はない。


……なんでこう、間接キスって言うと途端に恥ずかしさが増すんだろう。


回し飲みくらい何度もしている。


『飲む?』と聞かれたから『飲む』と答えた、それだけだ。


そうちゃんならいいや、とか、そうちゃんなら気にしない、とか、普段ならそれだけで思考がとまっているのに。


いつもなら、『間接キス』じゃなくて、『回し飲み』って思っているのに。


一度意識してしまうと、途端に駄目だった。


違うと言い聞かせるのにも、そうちゃんが飲んでいるのを思考の隅に追いやるのにも、なんだかひどく緊張する。


「……なあ」
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