蛇苺と死神の輪舞曲
ロンドは先生の項辺りに手を置いて、思い切り爪を立てた。
「…いってぇ!!」
先生が勢い余って後ろに倒れた。
「な、何だ!?」
何が起きたのか理解出来ていない先生の首筋には
くっきりと、ロンドが爪を立てた跡がついていた。
やがてその爪痕は、体をうねらせる蛇の形に変わった。
わたしは先生が倒れているうちに、日誌を書き上げた。
「ロンド、帰るよ」
わたしは先生の背後で腕組みをしているロンドに
小さくささやいた。
ロンドはわたしの隣に来ると、先生を睨み付け
「次にイチゴサンに手を出したら
呪い殺しマスヨ?」
と吐き捨てた。
先生はロンドの声が聞こえたのか
驚愕した表情で凍り付いた。
「それじゃあ先生、また明日」
わたしは素知らぬふりをして、教室を出た。
「ロンド、先生に何をしたの?」
「呪いをかけマシタ」
「の、呪い!?どんな?」
「イチゴサンに触れると、ボクが引っ掻いた傷が痛むという呪いデス」
「それだけ?」
「ハイ。しかし傷の痛みはハンパなものじゃありマセン。
直火で熱せられた鉄を当てられるのに相当する痛みデス」