俺は防水加工済み
「なっちゃんたち、走ってきたの?」
「傘、持ってなくて」
「博也って見た目によらず優しいよねえ」
先輩は笑う。その言葉に「見た目によらずってなんですか。俺は優しいっすよ」と博也は返す。が、先輩の彼氏さんをに「うそつけ」と言われて笑っていた。
バス時間はもうすぐだった。
ハンカチをかしながら、「おお、悪い」という濡れた博也を見て申し訳なくなる。ブレザーだって雨を吸い込んでいた。
「鞄ぬれなかったか」
「うん。博也こそ」
「俺は殆ど置き勉してっからなあ」
「胸はっていうところじゃないってば」
笑った顔が、くしゃっとなる。まぶしいなあってたまに思う。この笑顔が、好きだ。
バスがきて、私はバス停のなかにいる博也に顔を向けた。乗客も降りる人も少ないから、話す時間は少ない。