Special coffee, with you.【番外編追加】
☆番外編 ①☆
いつものようにドアを開けるとカランカラーンとドアベルが鳴る。

「いらっしゃいませ」

そう言いながら航太くんが笑顔を見せて、カウンター席に案内してくれた。

すると安藤さんが笑顔で「おかえりなさい」と声かけてくれる。

これはもう安藤さんの中では定着化したもようで、私も最初は恥ずかしかったけど「ただいまです」と返すことに少しずつ慣れてきた。

安藤さんと付き合い始めてから3ヶ月が経つけど、付き合い始めて変わったことといえば、安藤さんに会う日が増えたこと。

前は月曜日と金曜日の仕事帰りにプレシャスに来ていたけど、水曜日の定休日も私は仕事帰りに寄っている・・・というか、安藤さんの部屋に通っている。

「店休日は一緒に食事をしましょう」

そう言い始めた安藤さんが夕ごはんを作って待っていてくれる。

普段カウンター越しに話していた安藤さんと食卓で向き合って食べる夕ごはんはとても新鮮だった。

ああ・・私達付き合っているんだなって実感が持てたことに感動した。

いつもお店でオーダーするものとは違って、お鍋だったり、ホットプレートで焼くお好み焼きだったり、串揚げだったり、何だかホッコリできるもので。

お酒もビールや缶チューハイを飲みながら、たまに安藤さんがカクテルを作ってくれたり。

そんな寛げる時間を私達は過ごしている。

「お待たせしました」

カウンターにいつも通り安藤さんがコーヒーを置いてくれた。

私の大好きなコーヒー。

他に代用品がない、安藤さんのコーヒー。

安藤さんが選んでくれた青磁のコーヒーカップに、スペシャルブレンドのコーヒー。

愛しくていつも飲む前に眺めてしまう。

そして香りを楽しんでから一口飲むと、ホッとして口元がほころぶ。


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