オフィス・ラブ #Friends
くっそ。
だるい。
バッグをどさっとデスクに置いて、椅子に身を投げ出した。
彼の泊まった今朝、濡れた音で目が覚めた。
うしろから身体に腕を回されて、耳に熱い唇と、舌を感じて。
ちょっと、と反抗しようとするけど、しっかりと抱きしめられてしまっていて、振り向くこともできない。
あたしが起きたことに気がついたらしい堤さんは、そのままあたしをベッドにうつぶせにして。
光が差しこんで、真っ白に明るい部屋の中で。
早朝のけだるさそのままに、ゆるやかにあたしを抱いた。
「あっさり寝やがって」
「堤さん、寝なかったの」
吐息の合間に、なぜか責められる。
うなじに噛みつかれて、首をすくめると、ちょっとご機嫌斜めな声が降ってきた。
「好きな子が腕の中にいたらね」
そう簡単には、眠れないんだよ。
それ別に、あたしのせいじゃないじゃん。
ていうか、あたし「好きな子」なの。
くすぐったいよ、そういうの。
あたし、続きが知りたいなんて、ひと言も言ってないんだけど。
泊まってってってお願いした時点で、言ったことになったわけ?
まあ、なるか、そりゃ。
ね、ゆうべと違うね。
今朝はちょっと、熱くなってくれてるね。