オフィス・ラブ #Friends
あたしは、考えなくてはならない。


ずるずるこんな関係を引っぱって、それに酔うような年齢じゃないし。

その場合のリスクが女にばっかりあることくらい、わかってる。


なにより、ただ遊ばれてる感じでもないので、早く自分の立場を定めないと、なんていうか、申し訳ない。

向こうがもう少し遊び半分だったら、あたしも割り切れたかもしれないのに。

たぶんあの人は、けっこう本気であたしを狩りにかかってる。


そもそも、それがなんでなんだろうと思うけど。

そんなの人それぞれだから、考えたって仕方ない。




「彩ちゃん、耳寄りな情報」



あたしの情報源のひとりである先輩が、通りすぎざま肩を叩いた。

ふわりと香水が香る、ザ・できる女って感じの垢抜けた美女だ。



「例のメーカー、今年度の広告費を大幅に削られたみたいよ」



それだけ言って、さらりと消えていく。


マジか。

あそこが広告から手を引けば、ずっとほしかった主力級の女性誌の、目次対向ページが空くじゃないか。

あたしは即座に雑誌社の営業に電話をして、もしそんなことがあったら、絶対真っ先に声をかけてねと念を押した。



『でもレギュラー枠だから、わかんないよ』

「いいのいいの、もしかしたらで。よろしくお願いしますね」



まだその情報が入っていないらしい営業さんは、ピンときていない様子で。

それでも、オッケー、と言ってくれた。



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