雪見月
確固となった思いは自覚を促して。


そっと唇を噛み締める。


……そうだよ。そうじゃんか。


俺は飲み込みが遅いんだ。


身銭切らなきゃ学習しない、そういう馬鹿なんだ。


そのうち、自分でも気付かないまま、何か言うかもしれない。


発言のどれかが、特に何も意図せず君を傷付けるかもしれない。


それがどうしようもなく、嫌なんだ。



我儘なのは分かってる。


でも、もし許されるのなら聞いて。

俺も努力するから、どうか。


どうか甘やかさないでと、あなたに願おう。



お願いだから、頼むから。


後悔なんてしたくないんだ。

恩に仇で返す不義理は嫌なんだ。


後生だから、


一ミリたりとも、俺に君を傷付ける未来を与えないで。
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