雪見月
「……それは面白くていい考えですね……!」


笑いをもらした彼女に俺も笑う。


阿呆な案だけど一理ある。

長過ぎず短過ぎず、期限も丁度いい。


ただ、あまりに彼女が笑うので、先程のノートの件はやはりなしにしよう。うん。


理不尽とか知らない。


「実際、そいつはもう既に三回欲しいと思っているようですから、おそらく今月末には買うのではないでしょうか」

「……なるほど」


納得したらしい彼女が、決心したように拳を握る。


「私も数えてみます」

「はい」


あ、でも、と思いつきに眉を曇らせる。


「……十回とか、二桁になったらどうしましょう」


小さく噴く俺。


「そしたら買ってください」

「そうですね、買います……!」


やる気に満ち溢れる彼女を微笑ましく見つめる。


そんな会話の後、話題がそろそろ尽きかけていた。
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