雪見月
沈黙していたら、勘違いされてしまったらしい。
彼女は慌てて、すみません、と謝った。
「え?」
「いえ、あの、こんな二年も前のこと、覚えてないの当然ですよね、むしろ私が変っていうか、」
自嘲的に笑う彼女を見ていられなくて。
「覚えてます」
俺は遮るように口を開いた。
「え……?」
そうだ。
知っている。
覚えている。
寒いのに、手袋もしないで必死にページをめくっていた、
霜焼けになるくらい真っ赤なのに、手に積もる雪も振り払わないでいた、
時折祈るように、クリーム色の校舎があるだろう方角を見つめていた、
泣きそうな君のこと。
彼女は慌てて、すみません、と謝った。
「え?」
「いえ、あの、こんな二年も前のこと、覚えてないの当然ですよね、むしろ私が変っていうか、」
自嘲的に笑う彼女を見ていられなくて。
「覚えてます」
俺は遮るように口を開いた。
「え……?」
そうだ。
知っている。
覚えている。
寒いのに、手袋もしないで必死にページをめくっていた、
霜焼けになるくらい真っ赤なのに、手に積もる雪も振り払わないでいた、
時折祈るように、クリーム色の校舎があるだろう方角を見つめていた、
泣きそうな君のこと。