雪見月
手早く会計を済ませてくれた店員さんに心中感謝して、自動ドアが開くのももどかしく走り出す。
もたついた足を無理矢理前進させながら、人波をかいくぐる。
「はあ……っ」
私の手は小さくて、あまりに多くがこぼれ落ちて、目の前の人を助けることで精一杯。
それが偽善なのは分かってる。
一人だけではどうにもならないことだって理解しているつもりだ。
今時御伽噺が有り得るなんて、現実に夢見てもいない。
それでも別に良かった。
理由は後付けで構わなかった。
「もっと、速く……!」
走らなくてはいけないと思ったのは私自身の心なのだから。
もたついた足を無理矢理前進させながら、人波をかいくぐる。
「はあ……っ」
私の手は小さくて、あまりに多くがこぼれ落ちて、目の前の人を助けることで精一杯。
それが偽善なのは分かってる。
一人だけではどうにもならないことだって理解しているつもりだ。
今時御伽噺が有り得るなんて、現実に夢見てもいない。
それでも別に良かった。
理由は後付けで構わなかった。
「もっと、速く……!」
走らなくてはいけないと思ったのは私自身の心なのだから。