嘘と真実と君で僕になる
学校を出てすぐのところに止まっている車に乗り込む。


「お帰りなさいませ、お嬢様、蒼様。」

「ただいま、森さん。」



普通の家に生まれたかったな。

…贅沢な話だと言われるけど。


「どうかなさいましたか、『お嬢様』?」

「いいえ、特に。」




この定型文を交わしている関係、つまりは、『お嬢様』と『執事』のような関係が私には、この上なく居心地悪い。



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