となりの専務さん
…….そんな中で、「もしかして」と思ったことがある。
推測でしかないけど……専務と葉津季さんはすごく親しげで、さっきまでいっしょに専務の実家にも行っていたとのこと。
ということはもしかして……。
「……葉津季さんって……専務の……例の婚約者さん……ですか?」
おそるおそるそう尋ねる。不安で仕方なくて、「違うよ」って言ってほしいと思った。
すると、専務は。
「そうだよ」
と、答えた。
頭の中を、強く叩かれたような衝撃が走った気がした。
専務に婚約者さんがいることは、前からちゃんと知っていた。
だから、今さら婚約者さんの存在にショックを受けるのはおかしい話なのかもしれない。
でも……。
「……意外でした」
「え?」
「あ、いえ、その。婚約者さんとは結婚したくない、みたいな感じだったので……婚約者さんとは全然気が合わないとか、少なくともあんなに親しそうな人とは思わなかったので……」
気まずさをごまかすためになんとなくとっさに出た言葉だったけど、それもウソではないと感じた。
今まで専務の婚約者さんがどんな人なのかってあんまり考えていなかったけど、まさかあんなにキレイでかわいくて、そして専務と仲のよさそうな人だとは少なくとも思っていなかったから、急にこんなに不安になっているんだと思う……。
それでも、私はきっと、どこか期待をしていた。
誤解だよって。葉津季さんとはなんでもないよって。だから結婚したくないんだよとか……そういうことを言ってほしかった。
でも、現実は。
「大事な子なんだ」
「え?」
「葉津季は、俺にとって大事にしたい子」
「……」
「だから、親が決めた結婚なんかでいっしょになりたくないんだ。それじゃあ葉津希は幸せにはなれないから」
推測でしかないけど……専務と葉津季さんはすごく親しげで、さっきまでいっしょに専務の実家にも行っていたとのこと。
ということはもしかして……。
「……葉津季さんって……専務の……例の婚約者さん……ですか?」
おそるおそるそう尋ねる。不安で仕方なくて、「違うよ」って言ってほしいと思った。
すると、専務は。
「そうだよ」
と、答えた。
頭の中を、強く叩かれたような衝撃が走った気がした。
専務に婚約者さんがいることは、前からちゃんと知っていた。
だから、今さら婚約者さんの存在にショックを受けるのはおかしい話なのかもしれない。
でも……。
「……意外でした」
「え?」
「あ、いえ、その。婚約者さんとは結婚したくない、みたいな感じだったので……婚約者さんとは全然気が合わないとか、少なくともあんなに親しそうな人とは思わなかったので……」
気まずさをごまかすためになんとなくとっさに出た言葉だったけど、それもウソではないと感じた。
今まで専務の婚約者さんがどんな人なのかってあんまり考えていなかったけど、まさかあんなにキレイでかわいくて、そして専務と仲のよさそうな人だとは少なくとも思っていなかったから、急にこんなに不安になっているんだと思う……。
それでも、私はきっと、どこか期待をしていた。
誤解だよって。葉津季さんとはなんでもないよって。だから結婚したくないんだよとか……そういうことを言ってほしかった。
でも、現実は。
「大事な子なんだ」
「え?」
「葉津季は、俺にとって大事にしたい子」
「……」
「だから、親が決めた結婚なんかでいっしょになりたくないんだ。それじゃあ葉津希は幸せにはなれないから」