となりの専務さん
初任給が出るまでお金がないっていう話をしたら、凛くんはそれはすぐわかってくれた。大家さんには言わないって言ってくれた。


でも。

「俺と部屋交代しろ!」

「え?」

「当たり前だろ! となりが中野ならともかく、響って男じゃねぇか‼︎」

「で、でも専……響さんはいい人だし」

「俺が嫌なんだよ‼︎」

「えっ……きゃっ」

突然、凛くんに……抱きしめられた?


「りん、くん……?」

「……本当は、もっと仲よくなってからって思ってた」

「え……?」

「でも、ムリだ。お前がこんな部屋で、男と部屋がつながった状態で暮らしてるなんて、嫌だ」

「え、え……?」

「……好きだ」


……え? 今、なんて言われた?



「好きだ。お前が好きだ。ちゃんと話したのは昨日が初めてだったけど、なんかわかんねぇけど、こんなの初めてだけど、すげぇ好きだ」

「凛、くん……」

凛くんの心臓の音が、私にも聞こえた。すごく、早い。


「……だからっ」

「え?」

その瞬間。凛くんにその場に押し倒された。


「な、なに……?」

「……したい」

「え……? な、なにを……?」

「セックス」

「……はっ⁉︎」

「ゴムならたぶん部屋にある」

「なっ……⁉︎」

私がなにかを言うより先に、凛くんは私のスカートを強引にめくった。


「や、やだっ!」


ーー嫌だ、怖い‼︎


私が必死に凛くんの体を押し返しても、凛くんは行為を続けようとする。


こんなこと今までしたことないし、それでなくてもこんな無理やりみたいなの嫌だ……‼︎



私は……




『オトナの恋はもう少し待って、手を繋いだり、名前を呼び合ったりするだけでドキドキするような、そんな恋愛』



……私も、そういう恋愛がいい!
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