となりの専務さん
上司の事情
「それでは、これより配属先を発表致します」
翌日。私の社会人生活の一日目だ。
朝から午前中は、会社の一室で入社式を行い、その後に新入社員と役席の会食を挟み、最後に新入社員の配属先がそれぞれ発表され、各自の部署に異動し、仕事が始まるーーというのが、この会社の入社式の毎年の流れとのことだった。
「配属先、どこになるかな」
となりに座っていた同期のトモカちゃんが、こそっと私に話しかけた。
「そうだね」
「広香は希望の部署とかあるの?」
「んー……深夜まで残業させてもらえるとこ……」
「え?」
「あっ、いやなんでもないっ」
バカ私。まだ仕事は始まってもいないのに、すでに残業手当どのくらい出るんだろうとか気になってるとか。
さすがに同期の人たちにも、家の借金のことは言えてない。人に言うことでもないし、心配かけたくないしね。
……でも私、なにかの拍子にポロっと言っちゃいそう……今もつい変なこと口走っちゃったし……。気をつけないと!
「では、五十音順に発表していきます。名前を呼ばれた人は返事をしてください」
人事部長がマイクを持ち、会場の前方中央でそう言う。
「まずーー赤井 拓也(あかい たくや)くん。製造技術部」
「はい」
「続いて、石川 広香さん。商品企画部」
「は、はい」
商品企画部か。がんばろう。
その後もひとりひとり、名前と配属先が発表されていった。ちなみにトモカちゃんは商品デザイン部だった。
翌日。私の社会人生活の一日目だ。
朝から午前中は、会社の一室で入社式を行い、その後に新入社員と役席の会食を挟み、最後に新入社員の配属先がそれぞれ発表され、各自の部署に異動し、仕事が始まるーーというのが、この会社の入社式の毎年の流れとのことだった。
「配属先、どこになるかな」
となりに座っていた同期のトモカちゃんが、こそっと私に話しかけた。
「そうだね」
「広香は希望の部署とかあるの?」
「んー……深夜まで残業させてもらえるとこ……」
「え?」
「あっ、いやなんでもないっ」
バカ私。まだ仕事は始まってもいないのに、すでに残業手当どのくらい出るんだろうとか気になってるとか。
さすがに同期の人たちにも、家の借金のことは言えてない。人に言うことでもないし、心配かけたくないしね。
……でも私、なにかの拍子にポロっと言っちゃいそう……今もつい変なこと口走っちゃったし……。気をつけないと!
「では、五十音順に発表していきます。名前を呼ばれた人は返事をしてください」
人事部長がマイクを持ち、会場の前方中央でそう言う。
「まずーー赤井 拓也(あかい たくや)くん。製造技術部」
「はい」
「続いて、石川 広香さん。商品企画部」
「は、はい」
商品企画部か。がんばろう。
その後もひとりひとり、名前と配属先が発表されていった。ちなみにトモカちゃんは商品デザイン部だった。