となりの専務さん
「……広香?」

「え?」

「なんか元気ない?」

「え……」

ふたりでテーブル前に座ると、専務が私の顔を見て、突然そんなことを言った。


「なにかあった?」

そう聞いてくれるけど。


答えて……いいのかな。
葉津季さんは帰り際、『社長が言ってたことは、私が広香さんに話したって涼ちゃんに言っても構わないから、ふたりでゆっくり話し合ってください』と言っていた。

だけど……なんて話すべき? どう切り出せばいいの……?
私自身の考えも、なにもまとまってないよ……。



その時だった。


「……あ、すみません」

私の携帯が鳴った。電話だ。


「ああ、いいよ。出て」

「すみません」

ディスプレイを見ると、『お姉ちゃん』の文字が。珍しいな、こんな時間に電話してくるなんて。


「もしもし?」

電話に出ると。


「……え?




お父さんが


また倒れて病院運ばれたーー……?」
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