となりの専務さん
響さんのーーいや、専務のありがたいお言葉は、正直私の耳にはほとんど届かなかった……。
専務のお話が終わると、新入社員は十分後にそれぞれ各部署に向かってもらうという説明を受けた。
「広香、どうした? 急に顔色悪くなってない? 貧血?」
席に着いたまま、トモカちゃんが私の肩をツンツンとつつきながらそう聞く。
「え、いや……うん……? 大丈夫……」
全然大丈夫じゃないけど、事情を話せない以上は、そう答えるしかなかった。
専務は、入社式が終わるとすぐに部屋を出て行ってしまったので、もうこの場にはいない。
「広香〜、部署一緒だなっ!」
席を立って後ろからそう声をかけてくれたのは、同期の大樹(だいき)くんだった。
「ああ、うん、そうだね……」
「偶然だよなっ、同じ大学の同じ学部だった者同士で同じ部署なんてさっ!」
「う、うん……。大学で話したことはあんまりなかったけどね……」
「なんだよ、そんな冷たいこと言うなよ〜。てか、顔色悪くない?」
「いや、その……」
「生理?」
「……」
……落ち着いて、私。大樹くんは天然なだけで、悪気はないんだ。
ただ、今の私に、大樹くんの常にテンション高めなこの性格に対応できる自信もなかった……。
あっという間に十分経ち、各部署からひとりずつ先輩方が迎えに来てくれた。
私たち新入社員は、その先輩たちについていき、それぞれ自分たちの部署へ向かう。
私と大樹くんも、
「商品企画部の新入社員の方は、こちらへ来てください」
と言って部屋に入ってきたキレイな女性の先輩といっしょに、商品企画部へ向かうこととなった。
専務のお話が終わると、新入社員は十分後にそれぞれ各部署に向かってもらうという説明を受けた。
「広香、どうした? 急に顔色悪くなってない? 貧血?」
席に着いたまま、トモカちゃんが私の肩をツンツンとつつきながらそう聞く。
「え、いや……うん……? 大丈夫……」
全然大丈夫じゃないけど、事情を話せない以上は、そう答えるしかなかった。
専務は、入社式が終わるとすぐに部屋を出て行ってしまったので、もうこの場にはいない。
「広香〜、部署一緒だなっ!」
席を立って後ろからそう声をかけてくれたのは、同期の大樹(だいき)くんだった。
「ああ、うん、そうだね……」
「偶然だよなっ、同じ大学の同じ学部だった者同士で同じ部署なんてさっ!」
「う、うん……。大学で話したことはあんまりなかったけどね……」
「なんだよ、そんな冷たいこと言うなよ〜。てか、顔色悪くない?」
「いや、その……」
「生理?」
「……」
……落ち着いて、私。大樹くんは天然なだけで、悪気はないんだ。
ただ、今の私に、大樹くんの常にテンション高めなこの性格に対応できる自信もなかった……。
あっという間に十分経ち、各部署からひとりずつ先輩方が迎えに来てくれた。
私たち新入社員は、その先輩たちについていき、それぞれ自分たちの部署へ向かう。
私と大樹くんも、
「商品企画部の新入社員の方は、こちらへ来てください」
と言って部屋に入ってきたキレイな女性の先輩といっしょに、商品企画部へ向かうこととなった。