となりの専務さん
「……え……?」
「なんか、気に入った女性社員にセクハラして、その女性に飽きたらポイ、みたいな最低の専務らしいわよ」
「え、え?」
「べつに社内恋愛が禁止ってわけじゃないけど、そういうわけで専務はやめといた方がいいんじゃない?」
セ、セクハラ? 飽きたらポイ? 響さんが?
そ、そんな人には見えなかったけど……。でも、そういうウワサが流れてるってことは、もしかしてもしかする……?
……部屋の壁の穴をそのままにしておくのは、やっぱりまずかった?
いや、でも万が一そういうことになっても悪いのは自分だって誓ったわけだし……!
「さ、着いたわ。ここが商品企画部よ」
私がいろいろ考えているうちに、商品企画部に到着したみたいだ。
月野さんはもう一度顔をこちらに向けてそう言うと、その部屋のドアノブを回した。
月野さんの後ろからその部屋に入ると、電話があちこちで鳴っていたり、デスクに着いたと思ったらまたすぐに席を立って部署の外に出ていく人など、なんというか、とても忙しそうな感じが伝わってきた。
部屋は結構広く、たくさんのデスクと、その上にパソコンが置かれていた。
でも、デスクの数に比べて、人が少ないような気がした。
「ごめんねー。月初だから忙しくて、出払ってる人が多いのよ」
月野さんにそう言われ、なるほど、と納得した。
「一応、五時にはみんな一度部署に戻ってくることになってるから、みんな揃ったら部署の人たちの紹介するわね。あ、とりあえず……」
月野さんはそう言いながら、スタスタと部屋の中を進んでいく。
私と大樹くんも、慣れない環境に戸惑いながらもその後ろをついていく。あ、いや、戸惑ってたのは私だけかも。大樹くんはいつも通りな気がする。
月野さんは、部屋の真ん中辺りのデスクの前で足を止めると。
「この人が、入社七年目の私の先輩、鹿野 礼(しかの れい)さん」
「鹿野です。よろしく」
そう言って私たちにペコ、と頭を下げてくれたのは、月野さんと同じくらい美人な女性の先輩だった。
月野さんも素敵な人だけど、鹿野さんはそれよりもさらに「大人」って感じの女性だった。
少し濃いめの赤のルージュが、とても大人っぽくて素敵だと思った。
月野さんと鹿野さんは仲がいいみたいで、「璃恵ちゃん」「礼さん」と呼び合っていた。
……相乗効果ってやつだろうか。おふたりがいっしょに並ぶと、ひとりひとりのキレイ度がさらに増して見える気がする……。
「なんか、気に入った女性社員にセクハラして、その女性に飽きたらポイ、みたいな最低の専務らしいわよ」
「え、え?」
「べつに社内恋愛が禁止ってわけじゃないけど、そういうわけで専務はやめといた方がいいんじゃない?」
セ、セクハラ? 飽きたらポイ? 響さんが?
そ、そんな人には見えなかったけど……。でも、そういうウワサが流れてるってことは、もしかしてもしかする……?
……部屋の壁の穴をそのままにしておくのは、やっぱりまずかった?
いや、でも万が一そういうことになっても悪いのは自分だって誓ったわけだし……!
「さ、着いたわ。ここが商品企画部よ」
私がいろいろ考えているうちに、商品企画部に到着したみたいだ。
月野さんはもう一度顔をこちらに向けてそう言うと、その部屋のドアノブを回した。
月野さんの後ろからその部屋に入ると、電話があちこちで鳴っていたり、デスクに着いたと思ったらまたすぐに席を立って部署の外に出ていく人など、なんというか、とても忙しそうな感じが伝わってきた。
部屋は結構広く、たくさんのデスクと、その上にパソコンが置かれていた。
でも、デスクの数に比べて、人が少ないような気がした。
「ごめんねー。月初だから忙しくて、出払ってる人が多いのよ」
月野さんにそう言われ、なるほど、と納得した。
「一応、五時にはみんな一度部署に戻ってくることになってるから、みんな揃ったら部署の人たちの紹介するわね。あ、とりあえず……」
月野さんはそう言いながら、スタスタと部屋の中を進んでいく。
私と大樹くんも、慣れない環境に戸惑いながらもその後ろをついていく。あ、いや、戸惑ってたのは私だけかも。大樹くんはいつも通りな気がする。
月野さんは、部屋の真ん中辺りのデスクの前で足を止めると。
「この人が、入社七年目の私の先輩、鹿野 礼(しかの れい)さん」
「鹿野です。よろしく」
そう言って私たちにペコ、と頭を下げてくれたのは、月野さんと同じくらい美人な女性の先輩だった。
月野さんも素敵な人だけど、鹿野さんはそれよりもさらに「大人」って感じの女性だった。
少し濃いめの赤のルージュが、とても大人っぽくて素敵だと思った。
月野さんと鹿野さんは仲がいいみたいで、「璃恵ちゃん」「礼さん」と呼び合っていた。
……相乗効果ってやつだろうか。おふたりがいっしょに並ぶと、ひとりひとりのキレイ度がさらに増して見える気がする……。