となりの専務さん
そんなある日のことだった。
「係長〜、そろそろコーヒー淹れましょうかっ?」
月野さんが係長にそう尋ねると、係長は「あ、うん。ありがとう」と答えた。
席を立って給湯室へと向かおうとする月野さんを、私も席から立ち上がって引き止め。
「あの、コーヒーなら私が淹れますっ」
と言った。
早くいろんな仕事ができるようになりたい。けど、雑用したり周囲の人たちに気を回していくこともしたい。私も大樹くんみたいに、いろんな人ともっとコミュニケーションもとっていきたいし。
でも、月野さんは。
「ありがとう。でも大丈夫よ」
そう答え、給湯室へ向かっていく。
「あ、あの」
私はそれについていき、食い下がった。
「あの、やらせてください。私今、手空いていますし」
「私も空いてるから大丈夫よ」
「あの、私まだできる仕事も少ないですし、やれることいろいろやりたいと思ってて、その」
「じゃあ、あとで部長にコーヒー淹れてあげてくれる? 係長のは私が淹れるから」
「あ、それならなおさら、部長のコーヒーといっしょに、係長のコーヒーも私が淹れますよ」
……すると月野さんは。眉間に皺を寄せて、明らかにイラっとした口調で、
「いいから席戻りなさい。係長のは、私が淹れるって言ってるでしょ」
と、答えた……。
はい……と小さく返事をすると、月野さんは廊下に出ていく。
……怒らせた、かな。怒ってたよね。
月野さん、やらなくていいって言ってくれてたのに、私しつこかったかな。
でも、なんで部長のコーヒーは私が淹れて、係長のは月野さんなんだろ。
そんなことを考えていると。
「あれ……。困ったな」
という係長の声が後ろから聞こえてきた。
「係長〜、そろそろコーヒー淹れましょうかっ?」
月野さんが係長にそう尋ねると、係長は「あ、うん。ありがとう」と答えた。
席を立って給湯室へと向かおうとする月野さんを、私も席から立ち上がって引き止め。
「あの、コーヒーなら私が淹れますっ」
と言った。
早くいろんな仕事ができるようになりたい。けど、雑用したり周囲の人たちに気を回していくこともしたい。私も大樹くんみたいに、いろんな人ともっとコミュニケーションもとっていきたいし。
でも、月野さんは。
「ありがとう。でも大丈夫よ」
そう答え、給湯室へ向かっていく。
「あ、あの」
私はそれについていき、食い下がった。
「あの、やらせてください。私今、手空いていますし」
「私も空いてるから大丈夫よ」
「あの、私まだできる仕事も少ないですし、やれることいろいろやりたいと思ってて、その」
「じゃあ、あとで部長にコーヒー淹れてあげてくれる? 係長のは私が淹れるから」
「あ、それならなおさら、部長のコーヒーといっしょに、係長のコーヒーも私が淹れますよ」
……すると月野さんは。眉間に皺を寄せて、明らかにイラっとした口調で、
「いいから席戻りなさい。係長のは、私が淹れるって言ってるでしょ」
と、答えた……。
はい……と小さく返事をすると、月野さんは廊下に出ていく。
……怒らせた、かな。怒ってたよね。
月野さん、やらなくていいって言ってくれてたのに、私しつこかったかな。
でも、なんで部長のコーヒーは私が淹れて、係長のは月野さんなんだろ。
そんなことを考えていると。
「あれ……。困ったな」
という係長の声が後ろから聞こえてきた。