となりの専務さん
その後、私は給湯室を後にした。



給湯室を出ると……。



「え……」

給湯室のドアのすぐ横の壁に、専務が腕を組んで寄りかかっていた。


なんでここに……って思ったけど、それ以上に。
今の給湯室での会話聞いてたんだよね? って思って、焦った。



焦りはすぐに恥ずかしさに変わって。私は顔がカァッと熱くなるのを感じながら。


「お疲れ様です!」

と、それだけ言って、急いで会社を後にした。



ーー……

帰宅途中で、夕食の買いものをするためスーパーに寄る。

でも、給湯室で月野さんと鹿野さんと話していた時間があったせいか、タイムセールにギリギリ間に合わなかった。


仕方ないので、賞味期限ギリギリで安くなっているもやしと缶詰を買いものカゴに入れ、レジへ向かった。



買いものの最中も、さっきの月野さんと鹿野さんからの言葉をいろいろと思い出す。


『ダサくない?』

『中学生みたい』


私も、本当はもっと服を買ったり、美容院行ったり、おいしいもの食べたりもしたい。

昔から嫌なことがあると甘いものが食べたくなるけど、ケーキを買うお金すら今の私には惜しい。
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