となりの専務さん
すると、うつむきがちになっていた私の頭に、専務の大きな右手がポン、と乗った。


「専務……?」

ゆっくりと顔をあげて、専務を見つめると……。


「ん?」

専務はそう言うだけで、それ以上はなにも言わない。


……でも、いつもの無表情が、少しだけ柔らかくなっていた。もやしを食べて目を輝かせていたさっきとも、なんだか違う。


ほほえんでる?


意地悪な笑みでもない。純粋なやさしさの笑顔だっていうことは、すぐわかった。だから余計に……普段は見ないその表情に、思わずドキ、としてしまった……。

もちろん、そのやさしさもすごくすごくうれしいと思った。
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