ワケあり荘のイケメンズ!




ふと時計を見ると、短い針が既に4の数字を回っていた。


あ、もうこんな時間……。



「すいません、学園長。 今日はスーパーに寄ってからワケあり荘の方に行こうと思ってるんで、そろそろ失礼しますね」


それに、もうすぐ真守が幼稚園から帰ってくる時間だ。


今日はあの子が好きなものを作ってあげよう。


初めてのワケあり荘の生活で、たぶん、不安がるだろうし……。



「おお、そうか。君も忙しいね。まぁ、また何か困ったことがあったら何でも言ってくれたまえ」


あたしは学園長にぺこりと頭を下げると、部屋を出る。


「あ、そうそう。そういえば……」



――バタン。



あれ? 今、学園長なにか言いかけてた?



ドアを閉めた音に重なったから、よく聞き取れなかったし、聞き間違いかもしれない。



とりあえず急いでいるので、あたしはその場をあとにした。




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