ワケあり荘のイケメンズ!
─────……。
『メグー!撮るぞ』
『はーい』
――パシャ。
懐かしい、シャッターを切る音。
お父さんのカメラは、家族の写真でいっぱいだった。
大切な、家族との思い出。
それをすべて壊したのは、あたしだ。
あれはそう……中学に入ってすぐの出来事。
『もうイヤだ!どうしてあたしばっかりこんな思いしなきゃなんないの!?』
『メグ……』
『……大嫌い……。こんな家になんか、生まれてこなきゃ良かった!』
思春期真っ只中のあたしは、周りの友達と自分を比較して、勝手に劣等感を感じて、家族に対して不満を抱いていた。
病弱な母親。
自由奔放な写真家の父親。
まだ生まれたばかりの手のかかる弟。
だけど、大嫌いなんて……そんなこと思ってるはずないのに。
思うはずが、ないのに。
『……ごめんな。メグ』
『……っ』
あたしのことを責めるワケでもなく、謝ることしかしなかった父に、あたしは申し訳ない気持ちとイライラのジレンマに耐えられなくて、ボロいアパートを飛び出した。
そのときから、何かを予告する警告アラームのように、少しずつ壊れる音が鳴り響いていたんだ。
一時の感情に身を任せたあたしのせいで、家族は崩壊していった。
それはもう、思い出したくもない5年前の出来事。
あたしの記憶からも、壊れてなくなってしまえばいいのに。