ワケあり荘のイケメンズ!




「見ず知らずの、しかも自分を盗撮してきた怪しい人に食べさせるものなんてありません!」



「……ああ、なるほど。料理作れないのか」



ピクッ。



な、なんだと?



あたかも目の前のイケメン男は、〝やれやれ、それなら仕方ないな〟と、呆れた風にため息をつく。



その態度は、あたしの魂に火をつけるには十分だった。








「おー、やればできるじゃん」


「…………」



……やっちまった……。



あたしは先ほどスーパーで買ってきたものをフルに使って、見ず知らずの怪しい男にわりと豪勢な食事を用意してしまっていた。


ワケあり荘のキッチンは、前のオンボロアパートと比べればとても整備されてて、調理しやすかった。


……初めて使う場所でも、案外うまくいくもんだな。



男はキラキラとした目で、出来立てのジャーマンポテトの皿を手に取ると、それを一口パクリと食べる。


カレーには使わなかった余ったジャガイモで作ったやつ。



「んー、うまっ」



幸せそうにモグモグと食べるその姿は、不思議と悪い気はしなかった。



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