ワケあり荘のイケメンズ!



そこに立っていたのは、確かにあたしの弟の真守で間違いなかった。



だけど視界に映ったのは、真守がしっかりと手を繋いでいる隣の人物だった。



あたしなんかよりずっと背が高くて……細身だけれど、体はしっかりとしてるからおそらく男性だろう。



身長は、あたしのあとを追ってきたのだろう、後ろにいる都築湊斗とほぼ変わらないと思う。



その素顔は、黒い大きなサングラスと、ニット帽……おまけに花粉症なのか、マスクで隠されていた。



「…………」



……ヤバイ。


見るからに不審者だ。


こんな典型的な不審者を見たことがない。



あたしはどうやら、今日は〝変な人〟に会う遭遇率が高いらしい。



チラリともう一度我が弟に視線を移せば、なんとなくだが違和感を感じる。


真守がいつになく涙目だったからだ。


……もしかして、泣いた……?



再びあたしは、隣の怪しいヤツに視線を移す。


まさかこの人、真守に怖い思いをさせたんじゃ……!!



とりあえず真守を助けださねば!!




「この野郎っ!!」



「!!?」



――ドカッ!



勢い任せとはこういうことだ。いや、もうマジで体が勝手に動いた。


あたしの中の、真守を守るセンサーがピピピーンとアンテナを立てたのだ。



あたしは、サングラス&ニット帽&マスク男(長いため次からはグラサン男と呼ぼう)を、ぶん殴っていた。



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