ワケあり荘のイケメンズ!
「じゃあ、お弁当作るの手伝います」
「いいですよ、望月さんはまだここに来たばかりで大変だと思いますし、当番表が決まるまでは家事全般は僕がしますから。
女の子は朝の準備とか大変でしょう?望月さんは気にせずに自分のために時間使ってください」
……呆然。
そんなことを言われたのは初めてで。
朝の時間を、自分のための時間として使ったことがなかったあたしは驚いた。
それと同時に戸惑った。
朝の多忙だった時間が空白になることで、あたしは自分のために何かできるんだ。
でも、今まで何もしてこなかったから、何も思いつかない。
ぼんやりとしてるあたしに、首をかしげながら内宮先生は近づいてきた。
「望月さん、どうかしましたか?」
背の高い先生は、あたしに視線を合わせるように顔を覗き込んでくる。
ふと、後頭部にポンッと彼の大きな手が触れた。
……ドキッ。