ワケあり荘のイケメンズ!
「寝癖」
「……え?」
「ついてますよ」
ひと束の髪をすくい、にこりと笑った内宮先生。
そっと手で、髪を梳いてくれた。
「あ、ああああ、ありがとうございますっ……!」
とっさにあたしは、先生から距離をとった。
ビックリした。
あんな甘い声で、あんな優しい仕草で近づかれては、おだやかな陽だまりに包まれたような、そんな感覚に陥ってしまう。
男の人に免疫がないっていうのもひとつの理由で、すごくドキドキしてしまった。
「……し、失礼します!」
何かこの場から離れる口実を見つけようと思ったのに、結局見つからなくて言えた言葉はそれだけ。
「うん。準備ができたら呼ぶので、そしたらみんなを呼んで来てくれますか?」
あたしは顔も向けずにうなずくと、キッチンをあとにした。