エリート上司と秘密の恋人契約
告白は突然に
「俺と1ヶ月だけ付き合わないか?」
ほんの数分前、私は勤務している総合電機メーカー本社の広報部がある6階のエレベーター前にいた。仕事が終わり、帰るところで三角が下に向いているボタンを押した。
軽快な音とともに、開かれたエレベーターに乗ったら、先客が一人。上の階にある事業開発部の諸橋和真(もろはしかずま)副課長が左端で姿勢よく立っていた。
諸橋副課長は、去年の春、まだ20代の若さなのに副課長になったと話題になった人である。
「お疲れさまです」と頭を下げて乗り込むと「ああ、お疲れさま」と短い返事が聞こえ、反対の右側に立つ。
チラッと左側に目を向けると、諸橋副課長もこっちを見ていたらしく目が合う。
「星川美弥(ほしかわみや)さん」
「はい?」
諸橋副課長とは、私の記憶の中ではほとんど話がしたことがなく、私の名前なんて知られていないと思っていたから、フルネームで呼ばれたことに驚いた。
そして、聞こえたのが冒頭の言葉だった。
ほんの数分前、私は勤務している総合電機メーカー本社の広報部がある6階のエレベーター前にいた。仕事が終わり、帰るところで三角が下に向いているボタンを押した。
軽快な音とともに、開かれたエレベーターに乗ったら、先客が一人。上の階にある事業開発部の諸橋和真(もろはしかずま)副課長が左端で姿勢よく立っていた。
諸橋副課長は、去年の春、まだ20代の若さなのに副課長になったと話題になった人である。
「お疲れさまです」と頭を下げて乗り込むと「ああ、お疲れさま」と短い返事が聞こえ、反対の右側に立つ。
チラッと左側に目を向けると、諸橋副課長もこっちを見ていたらしく目が合う。
「星川美弥(ほしかわみや)さん」
「はい?」
諸橋副課長とは、私の記憶の中ではほとんど話がしたことがなく、私の名前なんて知られていないと思っていたから、フルネームで呼ばれたことに驚いた。
そして、聞こえたのが冒頭の言葉だった。
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