エリート上司と秘密の恋人契約
でも、もう全部を確認している暇がなく、貼ってないものが出てきたら、すぐに除いて貼る処置を行うようにと広報部と営業部の間では話していた。

だけど、営業部には全員に伝言が行き渡らなかったらしく、貼っていないものを見つけた小沢が慌てて私のところにやって来た。

それで、私は小沢と急いでシールを貼ることにして……


「本間が二人だけで大丈夫?と聞いたらさ、美弥が任せてくださいって、満面な笑顔を見せてさ……」


「ま、満面な笑顔?」


たかがシールを貼るくらいで私はそんなにも得意満面な顔をしたのだろうか……恥ずかしい。

それを和真に見られていたなんて余計に恥ずかしい。


「でさ、その笑顔のままで俺にも会釈したんだよ」


「で、和真はその笑顔に落ちたわけだ」


黒坂さんが謎が解けた気分だと機嫌良くクッキーにかじりつく。「うまい!」と味がお気に召したようで、さらにご機嫌になっていた。

和真は黒坂さんには知られたくなかったようで、少し不機嫌な顔を見せる。
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