エリート上司と秘密の恋人契約
「ラッキーって、そんなこと……」


和真の横顔を見ると頬がほんのり赤い。多分言っている和真自身も恥ずかしいんだ。私もだけど。

私に会えたらラッキーだとか、そんなジンクスのようなものを和真が持っていたことが信じられない。それに、そのジンクスの元がこの私だなんて、おそれ多い気がする。


「でもね、美弥と話すチャンスがなかなかなくてさ、気付いたら1年以上も片想いしてたってわけ」


「ってわけと言われても、なんと言ったらいいのか分からない」


「クスッ。なにも言わなくていいよ。今、こうして一緒にいられることが嬉しいからね」


嬉しいと言うけど、私のほうがずっと嬉しい。自分の覚えていないところで好きになってくれたけど、それがきっかけとなって、私たちは付き合っている。

好きにならないように気をつけていたのに好きになってしまい、和真の行動や言動の一つ一つに惑わされてしまい、胸は高鳴ってばかりだ。
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