エリート上司と秘密の恋人契約
だけど、ふとした時に気付く。この交際には終わりがあることを……

一緒にいられることが嬉しいのなら、付き合い始めた時の条件を変えてくれないかなと思う。

別れないで続けることにしてくれないかな。

遠距離でもいいし、1年待ってろと言われたらもちろん待つつもりだし。

だから、別れなくてもいいのではないだろうか。どうして別れなくちゃいけないの?

どうしてずっと好きでいてはダメなの?

待っていたら迷惑?


今、一緒にいられて、好きだと囁かれて、優しく抱かれることに喜びを感じるけど、それと同時に悲しみも感じる。

着実に和真が発つ日が近づいているから、1日が終わるたびに心苦しくなる。


そんないろいろな思いを交差させながら、時間が過ぎていき、和真が出発する前の週末の金曜日が翌日にと迫ってきた。

和真と付き合える期限はあと1週間。


「あ、星川さん、ちょっと来て」


会議室のセッティングを終えて、廊下に出ると前から和真が歩いてきた。会釈をすると、すれ違いざまに腕を掴まれる。
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