エリート上司と秘密の恋人契約
「えっ? あの、ちょっと……」
もつれそうになる足を動かして、和真についていく。
連れてこられた場所は非常階段の踊り場。非常用とあって、避難訓練の時にしか利用したことのない階段だ。
階段に出たときに重いドアをしっかりと閉めた。ここを通る人はいなく、誰も通らない階段は空気がひんやりしていた。
「か、ずま? どうしたの?」
用があるからここに連れてきたのだろうけど、和真は私の手を持っているだけで何も喋らない。
「あ、悪い」
どことなく思い詰めた表情をしていたけど、我に返ったのがいつもの顔に変わる。だけど、その顔を見ても心はざわざわする。
今週はずっとざわざわしていた。
「明日さ、部で送別会というか激励会を開いてくれるらしいんだ。いらないと断っていたんだけと、店を予約したからとさっき言われて」
「明日の夜?」
「うん」
金曜日の夜は一緒に過ごす約束となっている。でも、送別会というなら仕方がない。
もつれそうになる足を動かして、和真についていく。
連れてこられた場所は非常階段の踊り場。非常用とあって、避難訓練の時にしか利用したことのない階段だ。
階段に出たときに重いドアをしっかりと閉めた。ここを通る人はいなく、誰も通らない階段は空気がひんやりしていた。
「か、ずま? どうしたの?」
用があるからここに連れてきたのだろうけど、和真は私の手を持っているだけで何も喋らない。
「あ、悪い」
どことなく思い詰めた表情をしていたけど、我に返ったのがいつもの顔に変わる。だけど、その顔を見ても心はざわざわする。
今週はずっとざわざわしていた。
「明日さ、部で送別会というか激励会を開いてくれるらしいんだ。いらないと断っていたんだけと、店を予約したからとさっき言われて」
「明日の夜?」
「うん」
金曜日の夜は一緒に過ごす約束となっている。でも、送別会というなら仕方がない。