エリート上司と秘密の恋人契約
そんな私の気持ちに小沢は察してくれたのか、「あとで飲みにいこう」と言ってくれた。

やっぱり小沢は優しい。彼氏が出来たと話してからは小沢なりに気を遣っているようで、誘ってくることはなかった。

たまにオフィス内で話すことがあるくらいで、変わりなく友だちでいられるとは思ったけど、前よりも距離があることを感じていた。

だけど、私は和真に夢中だったから、小沢との以前のように話せないことを寂しいとは思わなかった。

こんな薄情者の私に優しくしてくれる小沢には感謝してもし足りない。

持つべきものは恋人よりも友だちかもしれない。

和真とのことは夢の中の出来事だったと思い、忘れることにしよう。

たった1ヶ月の出来事は、一生のうちのほんの少しにすぎない。そこにいつまでも囚われて落ち込んでいる場合ではない。

でも、短い期間だったけど、濃厚な期間だった。

週末を毎週一緒に過ごしたのがいけなかった。この前の週末なんて一人で何をしたらいいか分からなかった。

和真と付き合う前は一人だったというのに。
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