エリート上司と秘密の恋人契約
それに、この二人なら他の人に言いふらすことはしないだろう。心配してくれる二人をもう騙したくはなかった。

私は和真とエレベーターで一緒になったところから付き合うことになった経緯を話した。

別れた理由は、和真がニューヨークに行く日までと最初から決まっていたからだと話すと、二人揃って大きなため息をつく。


「諸橋くんがそんな軽い付き合いをするなんて思わなかったけど、美弥も美弥だよ? なんで辛くなる恋愛なんてしたのかなー」


「好きだったら、ちゃんと別れたくないと言わないと……諸橋さんは案外星川からの言葉を待っていたかもしれないじゃん」


二人の言うことは理解できる。だけど、和真を好きになるつもりがなかったから、付き合うことにした。

結果、好きになってしまったけど、だからといって条件を変えてほしいとは言えなかった。別れたくなくても言えなかった。

言ったことで嫌われたくなかったからだ。
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