エリート上司と秘密の恋人契約
こうやって誰かに聞いてもらえたことで気持ちが落ち着いて、スッキリした。ずっと誰かに聞いてもらいたかったけど、誰にも和真とのことを話していなかったから言えずにいなかった。

二人にお礼を言って、居酒屋を出る。


「星川、何かあればいつでも言えよ。じゃ、おやすみ」


駅まで一緒に歩いた小沢は、方面が違うから別のホームに行く。


「うん、おやすみ」


「あ、星川」


何か言い忘れたのかと首を傾げると耳元に顔を近づけて来た。


「俺は今でも好きだから」


「えっ?」


動揺する私に笑う小沢は手を振って階段を上っていく。

不意打ちの告白は心臓に悪いけど、ドキドキしてしまったのは事実。

でも、私の中で小沢はやっぱり友だちという位置付けでしかなかった。


* * *


時間は流れていく。

私は和真のことを考えないように仕事に没頭した。


「なんかまた夏が戻ってきたかのように今日は暑いわね」


「ほんとですね。異常気象らしいですよね」


これから毎年恒例の社内研究発表会の打ち合わせが行われので、さやかさんと大会議室に向かっていた。
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