エリート上司と秘密の恋人契約
分かっているけど、気になる。和真とその人がもし付き合ったりしたらと思うと、切なくて心が苦しくなる。

でも、和真が誰かと付き合ったとしても私には関係のないこと。


「でも、でも……」


「ん? 美弥、なに?」


「まだ私は和真の彼女だよ?」


和真の腕を掴んで、すがるように見る。一瞬和真の目が揺れたけど、真っ直ぐに私を見る。

私は和真に口づけた。恋人だからキスもするし、抱き合うこともする。

好きだから、する。


「和真」


「ん?」


口を離すけど、まだ息がかかるくらいの距離に顔はある。


「好き」


「クスッ。俺も好きだよ」


「じゃあ、何で別れるの?」


「俺がニューヨークに行くから」


思わず息を飲んだ。

1ヶ月付き合うと決めたときも「ニューヨークに行くから」と言われた。

また同じ答えだ。


「じゃあ、ニューヨークから戻ったらまた付き合うというの?」


「それは分からない。先のことなんてどうなるか分からないし、約束も出来ないし、しない」
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