エリート上司と秘密の恋人契約
「いつも俺のわがままに付き合ってくれてありがとう」


1ヶ月だとか1日だけとか普通なら考えられないような恋人を求めるのは、やっぱり和真のわがままだよ……。

だから、否定はしない。だけど、肯定もしない。


「体に気をつけてね」


答えにはなっていないけど、当たり障りのない言葉を返す。


「美弥もね」


タクシーを待たせて和真も一緒に降りる。

向き合うけど、何を言ったらいいのか分からない。和真からの言葉を待つ。


「あ、まずい。のんびりしていられないんだった。美弥、じゃあな。おやすみ」


「えっ、あ、おやすみ!」


ええっ! そんなあっさりと行くの?

「おやすみ」って、そんな夜の挨拶でお別れなの?

唖然としている私を置いて、タクシーはどんどん離れていった。

和真は明日の夕方に日本を出ると言っていた。


「和真のバカ」


また未練が残るじゃないのよ……。

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