エリート上司と秘密の恋人契約
浮かれて成田まで来た私はバカみたいだ。


「私、ここから一人で帰る」


「えっ?」


「私の役目、もう終わったでしょ?」


「美弥、ちょっと待てよ。何を怒っているんだよ?」


繋いでいた手を離した私を和真がまた掴む。

怒っている理由が分からないの?

自分の胸に手を当てて、よく考えなさいよ!


「私は、和真の何なの? フィアンセ役を頼むなら他の人にしてよ」


「いや、美弥じゃないとダメなんだ」


「何でダメなのか分からない。とにかく私は帰る。じゃあね」


和真が掴む手を緩めたから、振り払って、背中を向けた。

和真は追いかけて来なかった。
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