エリート上司と秘密の恋人契約
「おはよう」


「うん、おはよう」


久しぶりに和真の車に乗ったけど、以前と違う芳香剤の甘い香りがした。

お兄さんと和真の趣味は合わないらしい。和真は爽やかな香りを好むので、「この匂い、耐えられない」と顔をしかめた。

その様子がおかしくて笑った私の頭を和真がコツンと軽く叩く。ちょっとしたじゃれあいが楽しくて、さらに笑った。


ランチは和真の希望で蕎麦屋。日本の蕎麦が恋しくて、帰国したら一番に食べに行こうと決めていたそうだ。


「やっぱりうまいな」


「うん。美味しいね」


天ざるそばを食べて、最後にそば湯をもらう。つゆにそば湯を足して、飲む。うん、美味しい。


「これがまた最高だね」


「クスッ。そうね」


目を細めて、味わう和真を見ていると心が温かくなる。こんなふうに同じものを食べて、同じように美味しいと言えることが私にとっては最高だ。

これから和真と一緒にいる時間が増えるのかな。増えるといいな。
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