エリート上司と秘密の恋人契約
蕎麦屋に入った時には、なかったものが出る時には胸元にある。

たくさんの人に見せびらかしたい。知らない人でもいいから自慢したくなる。

ほら、きれいでしょ？

いいでしょ？ 見て、見て！ と。


蕎麦屋を出て、車を走らせる。これからどこに行くのかな？

向かう方角は家の方だけど、和真の家の方角でもある。このまま和真の家に連れていかれるのかな。

期待に胸が膨らんだけど、数分後に呆気なくしぼんだ。

その理由は和真だけこれから黒坂さんちに行くというからだ。黒坂さんは和真が戻ったら一緒においでと言ってくれた。

そのことを伝えようとしたけど、伝えられなかった。


「今後のことで話があるらしいんだ。込み入った話のようで、長くなりそうなんだよ。ふぅ……」


和真のため息から大変な話になることがうかがえた。ミヤとも遊べないとぼやく。

でも、ミヤはお構いなしで膝の上に転がっていそうだ。

黒坂部長が率いる事業開発部が本格的に始動したらもっと忙しくなりそうだけど、今日くらい和真をのんびりさせてあげて欲しい。
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