エリート上司と秘密の恋人契約
気にしなてもいいとわざわざ言われるのは、私に関係があることなのではないかと思ってしまう。

なんだろう。


午後になって、黒坂さんと和真が広報部に挨拶に来た。でも、二人だけではなかった。もう一人……サラがいた。


「正式には四月からですが、ご挨拶に来ました」


黒坂さんが先頭に立ち、和真とサラを紹介する。


「私の後任として、社長の秘書を務めていただく野久保沙羅さんです」


「野久保沙羅と申します。よろしくお願いいたします」


よく通るきれいな声で挨拶をしたサラは頭を下げたあと、私の姿を捉えた。

そして、ニヤリと意味深に笑う。


「あの人、諸橋さんの彼女なんでしょ?」


三人が出ていくと、後ろから耳を疑うセリフが聞こえてきて、私は思いっきり振り返った。

話していたのは主任と先輩社員。


「うわっ、星川さん、どうした?」


「いえ、何でも。あの、その話、本当ですか?」


「その話? ああ、諸橋さんとさっきの社長秘書のこと? 本人が言ってたと聞いたよ」


「えっ? 本人がって……」


「ちょっと美弥、来て」

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