エリート上司と秘密の恋人契約
主任に詳しく聞こうと詰め寄る私をずるずるとさやかさんが廊下まで引っ張っていく。

和真の彼女があのサラ?

いつの間にそんなことになっているの……。

昨日、会ったときはそんなこと言っていなかったし、そんな感じもなかった。

でも、あのあとで何かあった?

黒坂さんちに行くと言ったけど、違ったのかな。

それとも行ってから、サラに会ったとか。


「さ、さやかさん。どうしよう!」


「落ち着いて。朝、私もその噂を聞いたのよ。サラが言ったらしいわ。和真は私の恋人ですって、みんなに言っているんだって」


「恋人……そうなんだ……」


そうか、二人は付き合っているんだ。私をフィアンセだと言ったのは嘘だとサラに説明したに違いない。

婚約者役にしないでと怒った私を面倒な女だと思って、嫌気がさして、サラのもとに行ったのかもしれない。

嫌われたくはないと思ったけど、嫌われちゃった……。


「美弥。事実かどうかは分からないのよ。サラが勝手に言っているだけということも有り得るからね。どっちにしろ、諸橋くんに確認したほうがいい。それも早くにね」

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