エリート上司と秘密の恋人契約
「そうなのよ。実は三ヶ月後にやめることになって、さっき退職願を出してきたの」


「やめるって、もしかして……」


さやかさんは、「フフッ」と笑って、左手を見せてくれた。そこにはダイヤの指輪が嵌められていた。昨日はなかったもので、私はさらに驚く。


「うわー、素敵! 昨日もらったんですか?」


「ううん、もらったのは土曜日だけど、今日は見せびらかしたくて嵌めてきたの」


「おめでとうございます! 遠距離でがんばってきたさやかさんをほんと尊敬しますよ。良かったですね!」


「うん、私も彼に付いていく覚悟が出来たしね」


さやかさんは、5年も遠距離恋愛をしていた。さやかさんの彼はこの5年の間、九州や関西へと転々と異動していた。

現在は東京に戻っているが、また転勤になる可能性はあると聞いていた。

一ヶ月に一度会えればいいほうだと言っていたけど、二人の絆は深く、お互い信頼し合っていることもあり、ダメになることはなく理想の関係だと常々思っていた。

だから、長い年月を越えて、見事ゴールイン出来たことは本当にバンザイしたいくらい私も嬉しい。
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