エリート上司と秘密の恋人契約
和真は離せと口では言うものの、無理に引き離そうとはしていない。内心はこのやり取りが嬉しいのかもしれない。

目障りだから、そういうことは外でやってほしい。


「全く、アイツは仕方がないな。本間さん、行くよ」


「はい。行きましょう」


黒坂さんとさやかさんが前を歩いてくれたので、私は和真の視界に入らないように後ろを歩く。

えっ?

何でそっちに……行くんですか?

二人はオフィスの外に出ないで、和真とサラのところに向かう。

後を追うことの出来ない私は立ち止まってしまう。


「諸橋、行くぞ」


「そうよ。ちゃんとお祝いしてよね」


「は? 黒坂部長に本間?」


和真は二人の出現に目を見開いた。

黒坂さんは和真からサラを離して、和真の右腕を組んだ。もう片方の左腕はさやかさんが組む。二人に和真を間に挟んで外へと歩く。


「黒坂部長、待ってください! 私はどうなるんですか?」


一瞬呆気に取られていたサラが慌てて、黒坂さんに声をかける。
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