エリート上司と秘密の恋人契約
「あれって何よ?」


あれとは「1ヶ月だけ付き合わないか」だ。あのエレベーターに偶然乗り合わせたことから私たちは始まった。

でも、期限があった交際は期限通りに終わった。

和真がさやかさんにあれを説明する。


「ああ、あのバカな告白ね」


さやかさんは私から聞いていたから驚くこともなく、ただ冷たく言い放つ。


「ほんとバカだな」


黒坂さんまで和真を非難する。


「分かってる。自分がバカだと言うことくらい。だけど、美弥に寂しい想いをさせたくなかったんだよ。一年も離れてしまうけど、付き合ってくれなんて言えなかった。悲しませたくなかった」


「そんなことを言っても、結局悲しませているじゃないのよ。あのサラという子とは付き合っているの?」


過去の和真も気持ちよりも今の気持ちが大事だ。今は誰を想っているかが問題だ。

サラが好きだというなら、本当に決別しなければならない。


「いや、付き合っていない」


「じゃあ、向こうで付き合っていたの?」
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