エリート上司と秘密の恋人契約
さやかさんは、次から次へと突っ込んで聞く。私が聞けないことを聞いてくれるのは嬉しいけど、返ってくる答えが怖い。

聞きたくないことまで聞かされそうだ。


「向こうでも付き合っていない」


「付き合ってはいないけど、やった?」


際どいところまで聞くさやかさんはすごい……。

付き合っていなくても体の関係があった?

そういうこともあり得なくはない。


「は? やってないよ。何もしていない」


「じゃあ、あの子の独りよがりなのね。それで、諸橋くんは今後どうしたいの?」


「どうしたいって、それは出来ることならさ、うん、なあ、やっぱり……」


言葉を濁す和真に黒坂さんが吹き出した。


「プッ、アハハッ! ハッキリしないのは男らしくないけど、何もしていないなら問題ないよな。本間さん、どう思う?」


黒坂さんはずっと口を挟まないで、運ばれてきた焼き鳥を食べて、ビールを飲んでいた。

焼き鳥はあと二本しか残っていない。ほとんど黒坂さんが食べていた。
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